
労働安全衛生法と化学物質規制の最新動向~SDS管理の重要性
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記事公開日 : 2025/10/28
 
									2020年6月の改正食品衛生法施行により、食品用器具・容器包装におけるポジティブリスト制度が導入されました。
本制度は2025年5月末までの5年間の経過措置期間を経て、完全施行となりました。
ポジティブリストの精緻化や関係業界への周知徹底のため異例の長さの猶予でした。
食の安全性確保の観点から、食品関連事業者様は従来のネガティブリスト制度からの移行に伴う変更点を十分にご理解いただく必要がございます。
本記事では、ポジティブリスト制度の概要、導入の背景、対象物質まで分かりやすく解説いたします。
ぜひ最後までお読みください。

食品衛生法第4条では、食品用器具・容器包装を以下のように定めています。
食品衛生法改正により2020年6月から食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度が施行されました。
本制度は、食品接触材料として使用可能な物質を、安全性が確認された原材料のみに限定する新しい規制方式です。
これにより、食の安全性がより確実に担保されることになります。
従来の食品衛生法では、禁止物質を列挙するネガティブリスト方式を採用してきましたが、新素材の急速な技術革新に対応すべく、制度の見直しが行われました。
これまで業界の自主基準で運用されてきた規制は、国際標準への適合を目指し、使用可能な物質を明確に定めるポジティブリスト制度へと移行しました。
国際的には、米国(1958年)やEU(2010年)を筆頭に、既に多くの国々でポジティブリスト制度が導入されています。
アジア諸国においても、中国、インドネシア、ベトナムなどで採用され、韓国・タイでも導入が検討されています。
グローバルな食品取引において、各国の規制基準への適合は必須要件となっています。
本制度の導入により、日本企業の国際競争力強化と、より安全な食品供給体制の確立が期待されます。

ネガティブリスト制度は「原則自由、例外的に禁止」という柔軟な管理体制です。
使用を禁止すべき物質のみをリスト化し、リスト外の物質使用については原則として規制を設けない方式となっています。
対して、ポジティブリスト制度は「原則禁止、例外的に許可」という厳格な管理体制を採用しています。
安全性が科学的に評価され、使用が認められた物質のみがリスト化され、それ以外の物質の使用は原則として認められません。
この制度改正によって、より安心・安全な食品用器具・容器包装の提供が可能となりました。

ポジティブリスト制度が対象とする材質は「合成樹脂」です。
合成樹脂製の器具・容器包装及び他の材質の器具・容器包装で食品接触面に合成樹脂層があるもの(例:牛乳パック等)です。
合成樹脂は、工業製品として広く活用される高分子化合物の一種で、以下の3種類に大別されます。
以下のものはポジティブリスト対象外となります。
| 分類 | 物質例 | 
|---|---|
| 金属 | 鉄、銅、アルミ | 
| 非金属 | 酸塩、炭酸塩など | 
| 未精製の無機物 | 岩石、土、砂 | 
| 未精製の天然物 | 植物、抽出物 | 
| 天然高分子物質 | 植物繊維 | 
| 合成有機高分子物質(個体) | ポリマー(ゴム) | 
印刷インキや接着剤など、食品の直接触れない部分に使用される物質や、食品への移行量が0.01mg/kg以下であれば、ポジティブリストに収載されていない物質でも使用可能です。
参考:厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日から)」
ポジティブリスト制度は、事業規模を問わず食品関連事業に携わるすべての事業者に適用されます。
容器等製造事業者に求められる対応は主に3つ、適正製造管理規範(GMP)の遵守、取引先との情報連携体制、行政手続きへの対応です。
食品用器具・容器包装の製造事業者は、安全性確保の観点から、製造管理に関する厳格な基準を遵守することが求められています。
具体的には、食品衛生法施行規則第66条の5に基づく適正製造管理規範(GMP:Good Manufacturing Practice)に則った製造工程の管理・運用が必須となっています。
以下の項目が主な要件となります。
食品用器具・容器包装は製造から流通までの過程において複数の事業者が関わります。
そのため、食品衛生法第53条により、容器等製造事業者から容器等販売事業者へ、そこから食品製造・販売業者(容器等使用者)へと、食品用器具・容器包装がポジティブリストに適合している旨を説明することが義務づけられています。
情報伝達の手段について特段の定めはありませんが、事後的に確認できることが必要とされています。
そのため、口頭のみの説明は認められません。書面や電子データによる記録・保存を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
【伝達する情報】
【情報伝達の具体例】
食品衛生法第57条により、容器等製造事業者には、管轄保健所への届出が必要となりました。
これは地方自治体による製造事業者の適切な把握・管理体制の構築を目的としており、より安全な食品衛生環境の整備に向けた重要な取り組みとなっております。 
2025年4月1日法改正により表示・通知対象物質の追加があることで、SDSの改訂などの緊急対応すべき課題が発生しました。
これによって今までSDSの作成が義務付けられていなかった物質のSDS作成が義務化されるだけでなく、既にあるSDSの内容を更新しなければならない場合もあります。
食品取扱事業者は自社にどのような課題が発生するのかを事前に把握しておき、自社の現状と照らし合わせて不備が見つかった場合は早急な対応が求められます。
問屋・商社の方々においても仕入れている商品が最新の労働安全衛生法に則ったSDSを通知しているかを確認して自社内で管理する必要があります。
ポジティブリスト制度の施行に伴い、商社である当社は単なる仲介業者ではなく、製造元とエンドユーザーを結ぶ重要な情報伝達機能を果たすことが求められています。
当社は以下の取り組みを行っております。
・ポジティブリスト適合宣言書の取得・管理
・商品別にポジティブリスト適合宣言書の迅速な提供
・顧客からの各種お問い合わせへの対応
・証明書類のデータベース化と適切な管理
・部門間の明確な責任分担
これらの取り組みを通じて、お客様に安心してご利用いただける商品とサービスの提供に努めています。
ポジティブリスト制度は食品安全性の確保に向けた重要な取り組みであり、制度への対応は食品関連事業者にとって重要な課題となっています。
現在、本制度は合成樹脂を主な対象としていますが、厚生労働省は他の材質についてもポジティブリストを導入する方針を明示しています。
また、ポジティブリストは定期的に更新されるため、最新の規制動向への注視が重要となります。
当社ではお客様のスムーズな制度対応をサポートするため、最新情報の提供や関連商品の取り扱いを行っております。
今後も最新動向を注視し、お客様のニーズに即した高品質な商品・サービスの提供に努めてまいります。
制度対応に関するご相談・お問い合わせを随時承っております。お気軽にお問い合わせください。
※本稿は2025年10月時点の情報を基に作成しております。今後の法改正等により内容が変更となる可能性がございます。
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エフピコ商事は、食品トレー・容器のリーディングカンパニーである株式会社エフピコのグループ企業で、食品包装資材の専門商社です。北海道、東京、大阪、広島、福岡の全国5拠点に本社および営業所を展開し、エフピコグループが有する全国9箇所の配送センターによる物流ネットワークを活用し、迅速で安定した商品供給体制を構築しています。「必要な情報」と「必要な商品」を「必要な時」に合理的な手段でお届け。容器・資材消耗品のワンストップサービス企業を目指しています。
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