1. TOP
  2. FPTトピックス(お役立ち情報)|エフピコ商事株式会社
  3. 食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について

USEFUL

食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について

記事公開日 :  2025/10/28

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について

2020年6月の改正食品衛生法施行により、食品用器具・容器包装におけるポジティブリスト制度が導入されました。
本制度は2025年5月末までの5年間の経過措置期間を経て、完全施行となりました。
ポジティブリストの精緻化や関係業界への周知徹底のため異例の長さの猶予でした。
食の安全性確保の観点から、食品関連事業者様は従来のネガティブリスト制度からの移行に伴う変更点を十分にご理解いただく必要がございます。
本記事では、ポジティブリスト制度の概要、導入の背景、対象物質まで分かりやすく解説いたします。
ぜひ最後までお読みください。

食品用器具・容器包装とは



食品衛生法第4条では、食品用器具・容器包装を以下のように定めています。

食品用器具の定義

飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。
ただし、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は、これを含まない。
具体例は以下の通りです。
  1. 調理器具(箸、スプーン、茶碗、コップ等)
  2. 調理設備(まな板、包丁等)
  3. 業務用機器(製造機械、貯蔵庫、陳列ケース等)

容器包装の定義

食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。
具体例は以下の通りです。
  1. 飲料容器(ビン、ペットボトル等)
  2. 食品トレー、食品容器
  3. その他包装資材

このように、食品や添加物に直接接触する全ての器具・容器包装が規制の対象となります。
参考:厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年5月31日まで)」

ポジティブリスト制度とは

食品衛生法改正により2020年6月から食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度が施行されました。
本制度は、食品接触材料として使用可能な物質を、安全性が確認された原材料のみに限定する新しい規制方式です。
これにより、食の安全性がより確実に担保されることになります。

制度導入の背景と目的

従来の食品衛生法では、禁止物質を列挙するネガティブリスト方式を採用してきましたが、新素材の急速な技術革新に対応すべく、制度の見直しが行われました。
これまで業界の自主基準で運用されてきた規制は、国際標準への適合を目指し、使用可能な物質を明確に定めるポジティブリスト制度へと移行しました。
国際的には、米国(1958年)やEU(2010年)を筆頭に、既に多くの国々でポジティブリスト制度が導入されています。
アジア諸国においても、中国、インドネシア、ベトナムなどで採用され、韓国・タイでも導入が検討されています。
グローバルな食品取引において、各国の規制基準への適合は必須要件となっています。
本制度の導入により、日本企業の国際競争力強化と、より安全な食品供給体制の確立が期待されます。

制度変更のポイント

media-5-4.webp

ネガティブリスト制度は「原則自由、例外的に禁止」という柔軟な管理体制です。
使用を禁止すべき物質のみをリスト化し、リスト外の物質使用については原則として規制を設けない方式となっています。
対して、ポジティブリスト制度は「原則禁止、例外的に許可」という厳格な管理体制を採用しています。
安全性が科学的に評価され、使用が認められた物質のみがリスト化され、それ以外の物質の使用は原則として認められません。
この制度改正によって、より安心・安全な食品用器具・容器包装の提供が可能となりました。

ポジティブリスト制度の対象となるもの

media-5-2.webp

ポジティブリスト制度が対象とする材質は「合成樹脂」です。
合成樹脂製の器具・容器包装及び他の材質の器具・容器包装で食品接触面に合成樹脂層があるもの(例:牛乳パック等)です。
合成樹脂は、工業製品として広く活用される高分子化合物の一種で、以下の3種類に大別されます。

  1. 熱可塑性プラスチック(例:ポリエチレン、ポリスチレン)
  2. 熱硬化性プラスチック(例:メラミン樹脂、フェノール樹脂)
  3. 熱可塑性エラストマー(例:ポリスチレンエラストマー、スチレン・ブロック共重合体)
※ゴム(弾性体で熱可塑性を持たないもの)は対象外です

主な該当製品は以下の通りです。
  1. 食品包装フィルム
  2. ペットボトル
  3. 食品保存容器
  4. 使い捨て食品食器
  5. 缶詰用コーティング材
  6. その他合成樹脂製品

ポジティブリスト制度の対象とならないもの

以下のものはポジティブリスト対象外となります。

分類 物質例
金属 鉄、銅、アルミ
非金属 酸塩、炭酸塩など
未精製の無機物 岩石、土、砂
未精製の天然物 植物、抽出物
天然高分子物質 植物繊維
合成有機高分子物質(個体) ポリマー(ゴム)


印刷インキや接着剤など、食品の直接触れない部分に使用される物質や、食品への移行量が0.01mg/kg以下であれば、ポジティブリストに収載されていない物質でも使用可能です。
参考:厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日から)」

容器等製造事業者に求められる対応

ポジティブリスト制度は、事業規模を問わず食品関連事業に携わるすべての事業者に適用されます。
容器等製造事業者に求められる対応は主に3つ、適正製造管理規範(GMP)の遵守、取引先との情報連携体制、行政手続きへの対応です。

1.適正製造管理規範(GMP)の遵守

食品用器具・容器包装の製造事業者は、安全性確保の観点から、製造管理に関する厳格な基準を遵守することが求められています。
具体的には、食品衛生法施行規則第66条の5に基づく適正製造管理規範(GMP:Good Manufacturing Practice)に則った製造工程の管理・運用が必須となっています。
以下の項目が主な要件となります。

  1. 原材料の確認
  2. 製品の規格基準への適合情報の提供
  3. 製造の記録の保存
※ポジティブリスト対象外の容器等製造業者は一般衛生管理を摘要

2.事業者間における情報連携の確立

食品用器具・容器包装は製造から流通までの過程において複数の事業者が関わります。
そのため、食品衛生法第53条により、容器等製造事業者から容器等販売事業者へ、そこから食品製造・販売業者(容器等使用者)へと、食品用器具・容器包装がポジティブリストに適合している旨を説明することが義務づけられています。
情報伝達の手段について特段の定めはありませんが、事後的に確認できることが必要とされています。
そのため、口頭のみの説明は認められません。書面や電子データによる記録・保存を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

【伝達する情報】

  1. ポジティブリストへの適合性の確認に資する情報


【情報伝達の具体例】

  1. 営業者間の契約締結時における仕様書
  2. 入荷時の品質保証書
  3. 業界団体の確認証明書 など

3.法定手続きの実施

食品衛生法第57条により、容器等製造事業者には、管轄保健所への届出が必要となりました。
これは地方自治体による製造事業者の適切な把握・管理体制の構築を目的としており、より安全な食品衛生環境の整備に向けた重要な取り組みとなっております。

食品取扱事業者が対応すべきこと

2025年4月1日法改正により表示・通知対象物質の追加があることで、SDSの改訂などの緊急対応すべき課題が発生しました。
これによって今までSDSの作成が義務付けられていなかった物質のSDS作成が義務化されるだけでなく、既にあるSDSの内容を更新しなければならない場合もあります。
食品取扱事業者は自社にどのような課題が発生するのかを事前に把握しておき、自社の現状と照らし合わせて不備が見つかった場合は早急な対応が求められます。
問屋・商社の方々においても仕入れている商品が最新の労働安全衛生法に則ったSDSを通知しているかを確認して自社内で管理する必要があります。

エフピコ商事の具体的な対応例

ポジティブリスト制度の施行に伴い、商社である当社は単なる仲介業者ではなく、製造元とエンドユーザーを結ぶ重要な情報伝達機能を果たすことが求められています。
当社は以下の取り組みを行っております。

1.仕入先との連携

・ポジティブリスト適合宣言書の取得・管理

2.顧客サポート体制

・商品別にポジティブリスト適合宣言書の迅速な提供
・顧客からの各種お問い合わせへの対応

3.社内管理体制の確立

・証明書類のデータベース化と適切な管理
・部門間の明確な責任分担

これらの取り組みを通じて、お客様に安心してご利用いただける商品とサービスの提供に努めています。

まとめ

ポジティブリスト制度は食品安全性の確保に向けた重要な取り組みであり、制度への対応は食品関連事業者にとって重要な課題となっています。
現在、本制度は合成樹脂を主な対象としていますが、厚生労働省は他の材質についてもポジティブリストを導入する方針を明示しています。
また、ポジティブリストは定期的に更新されるため、最新の規制動向への注視が重要となります。
当社ではお客様のスムーズな制度対応をサポートするため、最新情報の提供や関連商品の取り扱いを行っております。
今後も最新動向を注視し、お客様のニーズに即した高品質な商品・サービスの提供に努めてまいります。
制度対応に関するご相談・お問い合わせを随時承っております。お気軽にお問い合わせください。
※本稿は2025年10月時点の情報を基に作成しております。今後の法改正等により内容が変更となる可能性がございます。

小ロットで商品を購入したいお客様

エフピコ商事が運営するECサイト「パックマーケット」では【必要な時に、必要なものを、必要な数量で】ご注文いただける便利さを提供しています。
ぜひチェックしてみてください。
パックマーケットはこちら

packmarket-1.webp.webp


エフピコ商事とは?

エフピコ商事は、食品トレー・容器のリーディングカンパニーである株式会社エフピコのグループ企業で、食品包装資材の専門商社です。北海道、東京、大阪、広島、福岡の全国5拠点に本社および営業所を展開し、エフピコグループが有する全国9箇所の配送センターによる物流ネットワークを活用し、迅速で安定した商品供給体制を構築しています。「必要な情報」と「必要な商品」を「必要な時」に合理的な手段でお届け。容器・資材消耗品のワンストップサービス企業を目指しています。

社名 :エフピコ商事株式会社
代表者:代表取締役会長 小松 毅至、代表取締役社長 門田 恒敬
所在地:〒163-6034 東京都新宿区西新宿6-8-1 新宿オークタワー34F
設立 :1987年4月
事業 :食品包装資材を中心とした卸売・小売販売、ECサイト「パックマーケット」の運営
資本金:4億円

最新記事一覧へ

WEB CATALOG

WEBカタログ

エフピコグループの関連資料をご覧いただけます。

CONTACT

お問い合わせ

商品をご利用中の方・ご検討中の方に関わらず、食ビジネスに関する疑問や課題についてお気軽にご相談ください。